6購入の申込をする
ローンの仮審査が通ったら、次は購入の申込です。
会社によっては「購入予約」とも言います。
新築物件と中古物件では申込方法が異なります。
新築分譲物件
- 購入意思を固めたら、売主または販売会社に購入の申込を行います。
その際、申込証拠金(2万~10万円)を求められることも多いです。
この申込証拠金は購入の意思を明確にするために預けるお金で、売買契約の手付金の一部に充当され、 購入に至らなかった場合は返却されます。
ただし、その返却をめぐるトラブルも多いため、預り証などをしっかりと受け取りましょう。 - 申込証拠金を支払い、購入申し込みをしたうえで物件情報と契約条件をより詳細に確認し、 購入までの具体的な手続きを進めます。
- 新築マンションや一部の新築一戸建て、土地などを不動産会社から直接購入する場合、
販売開始日以降「先着順」で申し込みを受け付ける物件が多い。
早めに資金計画を立てることが大事。 - 新築マンションの中には「抽選」で申込者を決める物件もあります。
中古物件
- 購入の申込は「買付証明書」と呼ばれる書類を作成し、不動産会社を通し売主に渡される事が多い。
「買付証明書」とは、購入価格や手付金の額、引渡時期などを記載し、「この条件なら買います。」という意思を伝えるもの。 これを基に仲介会社を通し、売主と売買の条件交渉を行い、最終的な調整をしたうえで売買契約に進みます。 - 会社によっては、売主が契約を結ぶ事を決断した時点で「売り渡し承諾書」を渡されることもあります。
- 新築とは違い「申込証拠金」が必要ない場合が多いです。
申込後のキャンセルは可能?
具体的な交渉後、条件が折り合わないなどキャンセルをしたい場合、
「購入の申込」自体に法的な拘束力はないため売買契約を締結していなければキャンセルできます。
また、支払った申込証拠金は返還されます。
ただし、売主はある程度契約成立の見込みがあると判断して交渉しているため、
キャンセルをすれば相手に迷惑をかけることになります。
申込・キャンセルともによく検討したうえで行いましょう。
7重要事項説明を受ける
宅地建物取引業法で「売買契約を締結するまでの間に、
不動産会社は購入予定者に対して購入物件にかかわる重要事項の説明をしなければならない。」と定めています。
重要事項説明は、宅地建物取引士が内容を記載した書面に記名押印し、
その書面を交付した上で口頭で行わなければなりません。
重要事項説明で確認すべきポイント
重要事項の説明者が「宅地建物取引士」であるかを確認- 万が一、説明者が宅地建物取引士ではない場合、その不動産会社は法令に違反している。
- 不動産会社が売主なのか、売主の代理なのか、媒介(仲介)なのかの説明を受ける。
- 所在地や面積が、重要事項説明書と登記記録(登記簿)に食い違いはないか確認。
- 物件に「抵当権」が設定されている場合、売主がその物件を担保に金融機関等から借入をしている可能性がある。 通常は抵当権を抹消することが売買の前提となるので、抹消される時期を確認し、契約書に明記してもらう
- 「仮登記」という設定がある場合も要注意!そのままだと物件を所有できなくなる可能性も!!
- 住宅を建てられない地域になっていないか、購入する家の周辺の土地の「用途地域」はなにかを確認。
- その地域にはどんな建物が建てられるのか具体的に確認。
- その土地に建てられる「建物の高さや面積」に関する法基準や、建て替え、増改築の制限を確認。
既存不適切物件
中古物件の場合、建築当時は適法であったとしても、建築後の都市計画の変更などで、 購入時点では法令の規定に適合していないことがあります。 このような物件は違反建築物とはなりませんが、同じ建物を再建築することはできません。
増改築も注意!!
建築後の増改築により、違反建築物となっていることもあります。 この場合、同じ建物を再建築できないことはもちろん、 行政から改善の指導や勧告を受けることがあるので注意しましょう。
その他、法令によって土地の造成など行政庁の許可が必要な場合があります。 これ以外にも様々な法令で制限されることがあるので、説明を受ける事が必要です。
- 購入予定の物件が私道に接している場合、物件にその私道が含まれるかどうか、含まれる場合はその面積や位置などを確認。
私道は単独で所有している場合、複数で所有している場合など権利関係が複雑。
そのため、維持管理や通行料の負担など物件によって様々なので注意が必要。
敷地に接する道路の幅が4m未満の場合、 道路の中心線から2mの線まで道路の境界線を後退しなければならない。
道路と敷地が2m以上接していないと、建物は建てられない。
敷地が私道にしか接していない場合、「道路位置指定」を受けていないと建物は建てられない。
インフラの整備について- 飲用水・電気・ガスの整備状況をしっかり確認。 設備が未整備の場合は整備の見込みについて、費用は誰が担当するかを確認。 負担金がある場合は何にいくら必要か説明を受ける。
- 完成後のトラブルを避けるため、完成後の仕様など具体的な資料で説明を受ける。
- 「造成宅地防災区域内」とは、地震等の災害で地盤の滑動など大きな被害が発生する恐れが大きいとして指定される区域のこと。 この区域内の宅地所有者は、災害防止のための擁壁設置等の責務を負うほか、 都道府県知事から擁壁の整備等に関して勧告や命令を受けることがある。
- 土砂災害警戒区域と津波災害警戒区域に該当するか。
物件がこれらの警戒区域内にある場合は、宅地の開発や建物の建築に制限がある。
- 石綿の仕様は昭和50年に原則禁止に。 それ以前の建物に関して、調査の有無とその内容をしっかりと確認。
- 昭和56年の法改正により耐震基準は強化。 それ以前に建築確認を受けた建物で、一定の耐震診断を受けている場合、その診断結果の内容が説明される。
- 「住宅品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能評価を受けている新築物件は、その旨の説明を受ける。
- 手付金、固定資産税や都市計画税の精算金、その他管理費等の精算金など、売買代金以外の金銭について記載されているか確認。 それぞれの目的や必要な金額を確認する。
- どのような場合に契約を解除できるのか。解除の手続き方法など。
- 契約に違反したときの損害賠償額や違約金などの金額・内容が記載されているか確認。
違約金等をめぐるトラブル多し!契約前にしっかり確認しましょう!
手付金等の保全措置- 売主である宅地建物取引業者が売買契約時に
- 完成物件で物件代金の10%または1,000万円を超える手付金を受け取る場合
- 未完成物件で物件代金の5%または1,000万円を超える手付金を受け取る場合
これにより、万が一その取引業者が倒産しても、手付金は買主に返還されるので、保全措置についてしっかり確認する。
- 支払い金または預かり金に対して宅地建物取引業者が保全措置を行うか否か、行う場合はその内容について記載されているか確認。 手付金とは違い、保全措置を行うかどうかは任意。
- 宅地宛物取引業者が住宅ローンなどのあっせんを行う場合、その内容を記載されているか、
また、予定していた住宅ローンが受けられなかった場合の措置についても記載されているか確認。
(買主の責任によらないところで、やむを得ず住宅ローンが受けられなかった時に売買契約を無条件で解除することができる、 いわゆる「ローン特約」など)
- 平成21年10月1日より、新築住宅の売主には瑕疵担保責任の履行に関する措置を行うことが義務化。 これは、売主が倒産などにより瑕疵担保責任を負うことができない場合でも、 保険への加入などにより瑕疵担保責任を履行する、という制度。
瑕疵担保責任とは?
一般の人では簡単に発見できないような瑕疵(欠陥)があった場合、
売主が買主に対して負わなければならない担保責任のこと。
民法では、瑕疵の存在を知らなかった買主は売主に対して損害賠償の請求、もしくは契約の解除ができるとしている。
- 分割による支払で販売される場合、
- 現金で販売する場合の価格、分割で販売される価格
- 引き渡しまでに支払う金額と引き渡し後に分割して支払う金額とその支払時期、支払い方法
- 宅地建物取引業者が宅地建物取引業保証協会の会員の場合、その保証協会の名称、
住所および所在地、保証協会が保証金を供託している供託所について記載されているか確認。
非会員の場合、営業保証金を供託している供託所とその所在地について記載されているか確認。
「供託」とは
国の機関である供託所にお金を預けること。
宅地建物取引業者は、営業保証金を供託するか、宅地建物取引業保証協会に加入することが義務付けられています。
マンションなど区分所有建物について
専用部分と共用部分について、どんなルールが定められているかしっかりと確認しましょう。
敷地に関する権利・種類- 敷地全体に所有権があるか確認。 賃借権がある場合は地代などの負担が発生することも。
- 共有部分の範囲やその使用方法、管理規約等をしっかりと確認。
- 専有部分であっても、住居以外の利用やペット飼育、リフォームの禁止など利用方法を制限している場合があります。
- 専用庭、ルーフバルコニー、駐車場、トランクルームなど敷地、共有部分、付属施設等に関して特定の人が使用できる権利の事。 共有部分が使用できない場合もあるので注意が必要。
- 修繕積立金、管理費の金額を確認。 中古マンション場合、計画的修繕のために積み立てられている金額や、すでに実施された修繕の内容についても説明を受ける。 また、売主が管理費や修繕積立金を滞納していないかをチェックし、滞納がある場合の対処法を確認。