住み慣れた我が家を売り出す理由は人それぞれ。
「家族が増えたからもっと広いところに。」
「子供が独立したので戸建からマンションに。」
「定年を機にUターン」
などなど色々ですが、どのような理由にしても家族の思い出が詰まった大切な家を手放すことに変わりはありません。
損の無い納得の売却でスッキリと次の生活に向かっていくために、家の売却のポイントをご紹介していきましょう。
売却の手順に入る前に、まずは売却する理由を整理しましょう。その上で住み替えの具体的なイメージをします。
- 住み替えの時期はいつ頃か
- 手元に資金はどのくらいあるか
- ローンの残債はどのくらいあるか
- 新居は購入か、賃貸か
- 新居を購入する場合、売却が先か購入が先か、売却と購入並行か
売却する理由と住みかえの具体的なイメージが整理できたら、おおまかな売却の流れを確認していきましょう。
売却にかかる諸経費と税金
- 仲介手数料
- ほとんどのケースで発生。 ⇒仲介手数料について
- 測量費用
- 一般的な整形地で高低差もなく、境界復元の必要もない場合、10万~20万円程度が相場
- 抵当権抹消費用
- ローンの残債がある場合に必要。費用の目安は、抵当権1本につき1万5000円程度
- ローン借入金融機関
- ローンの残債がある場合に必要。ローン返済時事務手数料など
- 各種税金
- 契約所に貼る印紙税や、売却に伴う所得税や住民税など
価格相場を知る
不動産会社に相談する前に、まずは自分で相場を調べ、ある程度の価格イメージを持ちましょう。
価格イメージを持つことで、査定を依頼する不動産会社を選ぶための判断材料にもなります。
相場を調べる手段をいくつか挙げると・・・
- 「インターネット広告」で近い条件の売り出し物件を見る
- 国土交通省が公表している「地価公示」「不動産価格指数(住宅)」「土地総合情報システム」を参考にする
- 各都道府県の「地価調査」を参考にする
- 個別取引価格が提供されている「レインズ・マーケット・インフォメーション」を参考にする
物件による査定方法の違い
中古戸建住宅
「土地」と「建物」に分けて査定するのが一般的
- 土地…査定地と同じような取引事例の土地を選び、周辺環境や物件の様々な条件を比べ価格を算出。(事例比較方式)
- 建物…新築時の価格に対する現時点の価格について、築年数や使用している建材のグレード、リフォーム状況などから価格を算出。(原価方式)
中古マンション
- 査定マンションと同じような取引事例のマンションを選び、周辺環境や物件の様々な条件を比べ価格を算出。(事例比較方式)
不動産会社に査定を依頼する
価格相場を調べたら、次に不動産会社に査定を依頼します。
より正確にいくらで売れるかを知るためにも、複数の会社に査定を依頼するとよいでしょう。
査定の判断材料は不動産会社によって多少違うので査定価格に若干のズレはありますが、極端な差がつくことはありません。
もし、1社だけ何百万円も高い査定を出してきた場合は注意が必要です。
査定依頼から不動産会社探しが始まっています。対応なども含め、しっかりと信頼できる会社か見極めましょう。
査定の種類
簡易査定(机上査定)
周辺の取引事例データから算出した簡易的な査定
- 査定依頼時に必要なもの
- 地図、登記記録(登記簿)など
ほとんどの場合、物件を特定できれば簡易査定可能。
(登記記録(登記簿)は、物件の正確な面積を把握するために提出を求められる場合があります)
訪問査定(詳細査定)
実際に現地にいき、物件の状態を細かく確認した上で算出される査定。
- 査定依頼時に必要なもの
- 地図、登記記録(登記簿)、購入時の重要事項説明書、建築関係書類など
どのような書類が必要か不動産会社にしっかりと確認しましょう!
ワンポイントアドバイス
不動産会社から査定価格を提示されたら、その根拠をしっかりと確認しましょう。
極端に高い査定をだしてきた会社は、正確なデータを持っていなかったり、
契約を取りたいがために無理をして結局買い手が付かなかったり、というケースもあります。
後の売却活動で後悔しないためにも、査定価格の裏づけをしっかりしましょう。
不動産会社を選び、媒介契約を結ぶ
不動産会社を選ぶ
査定結果と不動産会社の対応をふまえ、仲介を依頼する不動産会社を決定します。
不動産会社を選定するポイントとして、具体的にどんなサービス提供をしてくれるかもしっかりと確認しましょう。
一般的に不動産会社が行う仲介業務
- 物件価格の査定と売り出し価格の決定(売り出し価格は売主と協議の上決定)
- 販売活動
- 購入希望者との条件交渉
- 買主への物件説明(重要事項説明)
- 売買契約の締結(売買契約書の作成と手続きをサポート)
- 物件の引き渡し
また、次のような手段で不動産会社を選ぶ方法もあります。
- 物件の購入をした不動産会社に仲介を依頼する
- すでに売却物件を熟知しているため、売却活動において大きな強みとなる。
- 買い替えの場合、売却と購入を同じ会社に依頼する
- 売却と購入、それぞれの取引の状況を把握したうえで、スケジュールや資金のバランスなどを調整してくれる、 など取引がスムーズに進められます。
媒介契約締結の前に不動産会社に確認すること
希望を明確に伝える
売却時期・売却希望価格・売却活動の方法など、希望条件を明確に伝えることが重要。
引越しが可能な時期、売却代金の資金計画、広告宣伝の可否など自分の事情をふまえたうえで希望条件を伝えます。
希望する条件では売却が困難な場合もあるので、不動産会社と協議の上、最終的な条件を決定するとよいでしょう
仲介業務の内容を確認する
- 販売活動の方法
- 広告宣伝(折り込みチラシやインターネット広告)の内容。
自社顧客への紹介の手順。他の不動産会社との連携の有無など - 報告の内容と頻度
- 専任媒介契約の場合、不動産会社による仲介業務の実施状況報告が法律で義務付けられています。 具体的にどのような報告がどのくらいの頻度で受けられるかを確認しておきましょう。
- その他のサービス内容
- 物件調査、契約の手続きなどに関して、どのようなサービスを受けられるかをできるだけ詳細に確認。
依頼者自身が行うべきことを確認しておきます。
依頼者が行うことの一例
- 物件情報の提供
- 購入時の重要事項説明書、建築時の建築図書、リフォームの記録、 その他雨漏りの有無など物件に関して知っている事実
- 契約手続きに必要な公的書類の準備
- 土地の実測図等の作成
- 買主に求められた場合作成することがある。実際の作成は専門家が行なうが、 費用は売主負担となることが多い
- 売買完了後に自らの責任により発生したトラブルへの対応
- 仲介した不動産会社が対応できるトラブルもあるが、本人自らが対応しなければならないこともある。
仲介手数料の確認
仲介業務の内容を明らかにした上で仲介手数料を確認します。
法規制などもあるので注意点をしっかり抑えておきましょう。
仲介手数料の上限
宅地建物取引業法で、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料の上限が定められています。
- 売買価格200万円以下
- 取引価格×5%
- 売買価格200万円超400万円以下
- 取引価格×4%+2万円
- 売買価格400万円超
- 取引価格×3%+6万円
法令で定められているのはあくまでも上限額ですので、当然に上限額を請求できるということではありません。
仲介手数料は成功報酬
不動産取引の仲介では、仲介手数料の請求権は売買契約が成立したときに発生します。
したがって、原則として売買契約が成立するまで仲介手数料を支払う必要はありません。
手数料の支払条件も協議する
売買契約の成立で不動産会社に仲介手数料の請求権が発生するので、 契約成立時に仲介手数料を全額支払っても違法ではありません。 ただし、契約締結時点で引き渡しまで完了していないことが多いことから、 一般的には契約締結時に仲介手数料の半分を支払い、 引き渡し完了時に残りの半分を支払うことが望ましいとされています。
仲介手数料以外の費用等の取り扱い
通常の仲介業務で不動産会社に発生する費用を、依頼者に請求することはできません。
一般的に行われる広告費用や購入希望者の現地案内に関わる費用は、仲介手数料に含まれます。
例外的に、依頼者の希望で実施した、通常の販売活動では行わない広告宣伝の費用や、
依頼者の希望で行った遠隔地の購入希望者との交渉のための出張費用など、
依頼者の特別な依頼に基づき発生した費用は「実費」で請求することが認められています。
この場合
- 依頼者の依頼に基づいて発生したものであること
- 通常の仲介業務では発生しない費用であること
- 実費であること
の全てが満たされていることが絶対条件となります。
媒介契約を結ぶ
依頼する不動産会社を決めたら媒介契約を結びます。
媒介契約は売主が不動産会社に依頼する業務の内容や仲介手数料などを契約で明確にし、
トラブルを未然に防ぐためのもので、仲介の依頼を受けた不動産会社には媒介契約の締結が法律で
義務付けられています。
媒介契約には3種類あります。
専属専任媒介契約
仲介を1社の不動産会社にのみ依頼する契約。
自分の見つけてきた相手(親戚や知人など)も、依頼した不動産会社を通して取引する事が契約で義務付けられています。
売主と契約を結んだ不動産会社は、契約締結後5日以内にレインズ(※)に登録。
売主に対し、1週間に1回以上、販売状況報告の義務があります。
専任媒介契約
専属専任媒介契約と同じく仲介を1社のみに依頼する契約ですが、
自分の見つけてきた相手(親戚や知人など)と、不動産会社を通さなくても契約ができます。
売主と契約を結んだ不動産会社は、契約締結後7日以内にレインズ(※)に登録。
売主に対し、2週間に1回以上販売状況報告の義務があります。
一般媒介契約
複数の不動産会社に同時に仲介を依頼することができる契約で、
自分で見つけてきた相手(親戚や知人など)とも、不動産会社を通すことなく契約ができます。
ただし、最終的にはどの不動産会社を通して取引を進めるかを決める必要があります。
また、「明示型」と「非明示型」があり、明示型は仲介を依頼した各不動産会社に、
他のどの不動産会社へ仲介を依頼しているか通知する必要があります。
一方、非明示型は、他の不動産会社に重ねて仲介を依頼しているのか、どこに依頼しているのかを通知する必要はありません。
レインズ(※)への登録は任意で、売主に対し販売状況報告の義務はありません。
-
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
- 他社に重ねて仲介依頼
-
- ×
- ×
- ○
(明示型の場合は通知義務あり)
- 自ら見つけた相手と直接契約
-
- ×
- ×
- ○
- 契約の有効期限
-
- 3ヶ月以内
- 3ヶ月以内
- 法令上の制限なし
(ただし行政指導は3ヶ月以内)
- レインズへの登録
-
- 媒介契約締結から5日以内
- 媒介契約締結から7日以内
- 登録の義務なし
(任意での登録は可能)
- 販売状況の報告義務
-
- 1週間に1回以上
- 2週間に1回以上
- 報告の義務なし
(任意で報告を求めることは可能)
- メリット
-
- 依頼を受けた会社はほぼ確実に成功報酬を得られるため、 広告費などコストをかけた積極的な販売活動を行ってもらえる傾向が高い。
- 窓口が1社なので情報整理が容易
- 1社だけの依頼のため、販売活動を積極的に行ってもらえる可能性が高い。
- 窓口が1社なので情報整理が容易
- 自ら見つけてきた購入希望者と売買契約を結ぶことができる。
- 複数の不動産会社に依頼できるので、広く販売活動を行うことができる。
- レインズ登録義務がないため、近所の人に知られることなく販売活動を行うことができる。
- 自ら見つけてきた購入希望者と売買契約を結ぶことができる。
- デメリット
-
- 売主が自ら購入希望者を見つけてきても、直接売買契約を結ぶことはできない。
- 窓口が1社なので、依頼した不動産会社への依存度が高い。 したがって不動産会社を慎重に選ぶ必要がある。
- 専属専任媒介契約と比べると状況報告の頻度など義務が緩いため、 頻繁にフィードバックが得られない可能性がある。
- 窓口が1社なので、依頼した不動産会社への依存度が高い。 したがって不動産会社を慎重に選ぶ必要がある。
- 不動産会社に販売状況の報告義務がないため、フィードバックに不安がある。
- 複数社で販売活動を行うため、不動産会社は成功報酬を得られる可能性が低い。 そのためコストをかけづらく販売活動が消極的になりがち。
- レインズ
- 国土交通大臣の指定を受けた「指定流通機構」である公益法人によって運営されている、
不動産物件情報交換のためのコンピューターネットワークシステム。
売却された不動産は売却物件情報として登録。
その物件情報は数多くの不動産会社に公開され、取引の拡大を図ることができる
不動産を売り出す
媒介契約を結んだら、いよいよ家を売り出します。
まずは売り出し価格を決めましょう。
売り出し価格を決定するのはあくまで売主です。
自分の希望価格と不動産会社の査定価格をふまえ決めていきます。
売却代金の一部を買い換えやローン返済に充てる必要があるならその点も考慮しなければいけません。
また、短期間で売却したければ売り出し価格を低めに、
時間がかかっても高く売却したければ売り出し価格を高めに設定するという方法や、
最初に設定した価格で買い手がつかなければ、状況に応じて価格を下げていくという方法もあります。
ただし、査定結果より極端に高い金額で売り出すのは信頼性を損ないかねないので得策ではありません。
あくまで相場と自分の状況を加味して売り出し価格を決めることが大切です。
買取保証について
一定期間内に物件を売却できなかった場合、仲介を依頼した不動産会社はあらかじめ決めた価格で
その物件を買い取る「買取保証」というシステムがあります。
買取保証価格は、買い取り後の転売で失敗しないためにより確実に売却できる価格で査定するため、
相場と比べてかなり安くなります。
また、買取保証は必ず利用できるものではありません。
不動産会社あるいは物件によって対応は異なりますので注意しましょう。
- ホームインスペクション(住宅診断・建物検査)
-
売主・買主・仲介業者ではない、第三者となる住宅診断士(ホームインスペクター)が専門家の見地から、 住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用など見極めアドバイスを行う専門業務です。
調査費用は業者によって異なりますが、目視による基本調査の場合5~6万円が一般的。
基本調査の内容は、主に床・壁・天井・建具・床下・屋根裏・外壁・基礎・屋根などで、調査時間はおよそ2~3時間。
住宅診断によって、修理の必要性や修繕に用の目安などもわかるため、売主は検査結果を基に修繕するか、現状のまま引き渡すか決めることができます。
修繕すれば売却に有利となる可能性があり、修繕しなくても買主に 「どの部分をどの程度修繕するか」を説明できるため、安心感を与えます。住宅診断のメリット
- 買主に対し住宅のコンディションを明らかにできるため、売却時のセールスポイントになる
- 売却前に瑕疵(かし)・不具合がわかるため、売却後の瑕疵によるトラブルを防ぐことができる
住宅診断のデメリット
- 費用がかかる
- 瑕疵・不具合の状況により、売却前に対応が必要な場合がある
2018年4月1日から、不動産仲介業者は中古住宅の売買契約を結ぶ際、 その契約確認事項に、住宅診断を行うか否かの項目を掲載することが義務付けられます。
内覧対応
販売活動を開始すると、購入希望者が物件の内覧に訪れます。
少しでも高く購入してもらうには、見学者の印象を良くすることが大切。
一番重要なのが「掃除」。以下で掃除のポイントをおさえておきましょう。
掃除のポイント
- 玄関
- 靴は全て靴箱へ。臭いがしないかも確認。
- 室内
- 不要なものは片付けるか捨てる。部屋の広さがわかるように見せるのがコツ。
- 浴室・トイレ
- カビや水あかは除去。臭いがしないかも確認。
- キッチン
- 最低限油汚れは落とす。特にキッチンの汚れは印象を悪くする可能性がある。
- バルコニー
- 不要なものは片付け、洗濯物は取り込んでおく。
- 収納
- 見られてもいいように整理整頓しておく。
- 外周
- 庭や敷地内の雑草を抜くなどお手入れしておく。
- 臭い
- 特にペットを飼っている場合やタバコを吸う習慣がある場合、
住人では臭いに気がつきにくい場合がある。
消臭剤でケアするのはもちろん、内覧中は散歩に連れ出すなど、ペットは外出させておくほうが無難。
浴室やトイレの換気も忘れずに。
見学時間は15分~30分が一般的。
短時間で住まいの良さを伝えるためにもセールスポイントや使い勝手の良さをあらかじめまとめておきましょう。
ワンポイントアドバイス
見学者は土日祝日の日中に来ることが多いと考えられます。 大事な買主を逃さないためにも、販売活動を開始したら土日祝日はなるべく家にいるようにしましょう。
購入希望者と交渉する
購入希望者から購入申込みが入ったら契約に向けての交渉を始めます。
不動産会社を通して購入希望者から「買付証明書」(「購入申込書」「買付申込書」など別称あり)が届く
買付証明書に記載されている、購入希望価格・代金の支払い条件・引き渡し希望日など 購入希望者の基本的な希望条件を確認し、具体的な交渉に入るか決める
不動産会社が、売主・買主の希望条件を確認したうえで、条件を調整する。
以上が大まかな流れとなります。
調整する条件の一例
- 売買価格
- 手付金の額
- 引渡しの時期
- 瑕疵担保責任の期限
- 土地の実測を行うか否か
- 土地の実測を行う場合は、実際の面積に応じた売買代金の清算を行うか否か
- 建物の補修を行うか否か
- 古家がある場合は撤去するか否か
- 固定資産税や都市計画税などの清算方法や金額
条件交渉では、購入希望者の条件を全て受け入れるのではなく、不動産会社の助言を受け、 自分が納得のいく条件かどうかを慎重に判断しましょう。
ワンポイントアドバイス
価格条件は「建物や設備に不具合がある場合、補修を行わない代わりに価格を下げる」など、 他の条件と一体で調整することも可能です。
物件情報の開示
契約条件の調整が済んだら、不動産会社が買主に対して物件や契約条件などに関する重要事項を説明します。
重要事項説明とは?
宅地建物取引業法で「売買契約を締結するまでの間に、不動産会社は購入予定者に対して
購入物件にかかわる重要事項の説明をしなければならない。」と定めています。
重要事項説明は、宅地建物取引士が内容を記載した書面に記名押印、
その書面を交付し口頭で行ないます。
不動産会社は、重要事項説明を行うために物件調査を行いますが、全ての事項を調査することはできません。 そのため売主は、不動産会社に物件の関連書類を漏れなく提供するとともに物件に関して知っている情報を 正確に提供する必要があります。
売主が不動産会社に提供する情報の例
- 購入時の重要事項説明書
- 建築時の設計図書
- リフォーム時の書類
- マンションの場合、管理規約や使用細則など
- 告知書(※)
- 把握している物件の欠陥(雨漏りやシロアリなど)
- その他売主が気になる情報(近隣とのトラブルや騒音の有無など)
告知書
所有する物件の付帯設備や物件の状況について説明する書面。
国土交通省は「売主にしかわからない事項について、売主の協力が得られる時は告知書を提出してもらい、
これを買主に渡すことで将来のトラブル防止に役立てることが望ましい」
としています。
重要事項説明の内容はしっかり確認しましょう!!!
重要事項説明は買主に対して行うものですが、
後々のトラブルを防止するために売主もその内容を確認しておくことが重要です。
万が一、売主が不動産会社に正しい情報を伝えなかったことによりトラブルが発生した場合、
損害賠償を請求される可能性もあります。
- 提供すべき情報に漏れがないか
- 提供した情報が重要事項説明書に正しく記載されているか
を、しっかり確認し、内容に問題がある場合はすぐに修正してもらいましょう。
売買契約を結ぶ
契約条件で買主と合意ができたら、ついに契約です。
いったん契約を結ぶと簡単には解除できません。
事前の契約内容をしっかりと確認しましょう。
売買契約は、売主・買主・不動産会社が一同に介し売買契約書を読み上げて最終確認をします。
そのうえで、契約書に署名・押印し、手付金の授受を行います。
このときに仲介手数料を支払う場合もあります。
契約時に必要なもの
- 権利証
- 手付金等の領収書
- 印紙…売買契約書に貼付。代金が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙代は1万円
- 印鑑…実印を求められることが多い
- 仲介手数料…必ず領収書を受け取る
- 設備表
- 物件状況報告書
- 印鑑登録証明書
- など
手付金について
契約の際、買主から売主へ手付金を支払うことが一般的です。
手付金には
- 証約手付
- 解約手付
- 違約手付
の3種類があり、一般的に不動産売買契約では(2)の解約手付として授受されます。
(民法でも特定の定めがない場合は解約手付と推定するとされている)
- 手付の種類
- 手付の性質
- 証約手付
- 契約の締結を証する目的で授受
- 解約手付
- 手付の放棄または倍額を返すことで契約の解除が可能
- 違約手付
- 契約違反の場合は没収される
引き渡し準備
売買契約を結んだら、期日までに引き渡しをします。
引き渡しまでには様々な準備をしなければなりません。
所有権移転登記の準備
一般的に登記申請は司法書士に委任。
登記記録の内容と事実が異なる場合や、登記識別情報または権利証を紛失してしまった場合などは、
特別な手続きが必要になり時間が掛かることもあります。極力早く準備しましょう。
抵当権抹消の準備
抵当権が設定されている場合、ローンを借りている金融機関に残債額の確認をして ローンの全額返済と抵当権抹消のための準備を進めます。 特に抵当権抹消に掛かるスケジュールと引渡しのスケジュールをしっかりと調整しましょう。
土地の実測や境界確認
一般的に土地家屋調査士に依頼。
境界の確認は、隣地所有者も立ち会ったうえで行うのでしっかりとした対応が必要です。
現地確認
原則として引き渡しまでに、売主・買主・不動産会社が立ち会って現地の確認をします。 特に隣地との境界にまつわるトラブルが多いので、しっかりと引継ぎをしましょう。
引越し
買主に物件を確実に引き渡せるように準備。
ガス・水道・電気の料金の精算、固定資産税・都市計画税、管理費(マンションの場合)などの清算もお忘れなく。
売主が事前に準備するもの
- 登記関係書類等
- 実印
- 登記費用
- 残代金や各種精算金の領収書
- 建築関係書類、物件の鍵等、買主へ引き継ぐべきもの一式
- 仲介手数料
※実測図や境界確認書が必要な場合もあります。
その他必要なものはしっかりと不動産会社に確認しましょう。
不動産を引き渡す
一般的に売主による所有権の移転と物件の引き渡し、買主による残代金の支払は同時に行われます。
引き渡し時の流れ
買主から残代金を受け取る。
住宅ローンを利用する場合はローン実行
買主へ残代金の領収書と、所有権移転登記に必要な書類一式を引き渡し。
(一般的には司法書士が所有権移転登記を申請し、司法書士に登記費用を支払う)
※抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消の登記も同時に申請。
固定資産税・都市計画税や管理費の精算金を買主から受け取り領収書を渡す
※一般的に固定資産税・都市計画税、管理費など引渡しの前日まで売主負担、
引渡日以降を買主の負担として日割り計算します。
その他、実測図や建築関係書類、物件の鍵、付帯設備の保証書、取扱説明書などを買主へ引き渡す。
その際、引き渡し確認書を受け取ることも。
不動産会社に仲介手数料を支払い領収書を受け取る
売却完了!!
確定申告を忘れずに!!
不動産の売却によって得た利益については、所得税と住民税が課税されます。
ただし、マイホームのような居住用財産の場合、「居住用財産の3,000万円特別控除」や「買い換えの特例」
「マイホームを売却した場合の軽減税率の特例」などがあります。
それぞれの特例には適用条件があるので、早めに税務署や税理士に相談しましょう。
確定申告をしなければ適用されない特例を受けたい場合や、不動産売却によって納税しなければならない場合、
売却した翌年の2月16日~3月15日までに確定申告を忘れずに行いましょう。
確定申告には、不動産売買契約書や売却に掛かった費用の領収書が必要となるので、
大切に保管しましょう。